6年越しにピンポン the animationにはまる
何のきっかけだったか、ツイッターで懇意にしているオタクが「ピンポン the animation」に言及していたので、久々にamazon primeで見返した。
一昔前は違法アップロード動画をanitubeで探していたものが、今は公式の配信で探せるものだから、大変ちゃんとした時代になったものだと思う。
「ピンポン the animation」は2014年にフジテレビノイタミナ枠で放送された深夜アニメである。
このOPが凄まじいので、本編にはついていけなかった人もOPだけでも見て欲しい。
6年前、まだ実家にいたときにこれをリアタイで見ようとしていたことがあった。
当時はまだくそ田舎の地上波しか見られなかったので、摂取できるアニメがノイタミナ枠くらいしかなかったのだ。
初見ではついていけなかった。あまりにもクセの強い作画や、ストーリーを飾る男子高校生たちの生々しい挫折が、ウブな高校生には受け入れられなかった。
歳を重ねて2020年となり、高校生には戻れないし戻りたくもないという身分になって、やっと見返すことができた。
今になって見返すと、とんでもないことをよくやっているのだと思った。
特筆すべきことは、何といっても作画だろう。
歪みまくった手書きの線は、原作漫画のタッチを見事に再現している。
きれいでシンプルな流行りのアニメ絵とは対極にある。
さらに、人物の動き、卓球のラリーに合わせて線が歪む。
卓球台さえ歪む。
しかしこれが不思議と苦にならない。これが、四畳半神話大系やデビルマンで見られた湯浅政明のマジックなのだ。
(キャラデザについて脱線。そもそもであるが、こんにちのいわゆる萌えアニメ、萌えキャラというものは、目が異常に大きく、髪の色でキャラを立てるというデフォルメがされる。あるいは女性向けであれば、顎が細く、目が切れ長に描かれる。
一方ピンポンでは、目と顔のバランスがリアルの顔に近く、髪の毛の色も普通である。このような傾向は劇場版の攻殻機動隊や、大友克洋のAKIRAに近いのではないだろうか。個人的にはこのようなアニメも好きなのだが、まぁ売れないので数が少ない。萌えないアニメはマネタイズし辛いのだ)
この拙文では、このアニメの良さや意味を語ることは不可能である。
他人の言葉を借りれば、この作品は「スポ根・ヒーロー・友情」をテーマにしたものだという。
リアタイで見ようとしたときは、この「スポ根」の要素しか分からなかったが、今になってみると、この「ヒーロー」というテーマが強く心に残る。
ピンチの時はオイラを呼びな!
心の中で三回唱えろ!
ヒーロー見参、ヒーロー見参、ヒーロー見参!
そうすりゃオイラがやってくる!
ピンポン星からやってくる!
ヒーローは世界を救うのだろうか。いや、「ピンポン」のヒーローは世界を救わない。もっと単純で、わがままで、適当だ。正義など考えてはいない。
それでも人を救うのだ。
ヒーローはスマイルを救い、ドラゴンを救った。
この救いの物語が、6年越しにこの癖の強いアニメが私にくれたものだった。
余談だが、音楽も良かった。
卓球の世界と見事にマッチしている。
なんでこんなに気持ちがいいのだろうか。