雲の見える海で

てまりという一人のオタクの備忘録。けもフレが多め。「とよはた雲」というサークルがあるとかないとか。

ガラパゴス化する日本アニメ、思春期をやめられないオタクたち。

https://globe.asahi.com/article/13185352

 

朝日新聞Globe+ というメディアに、「この世界の片隅に」の監督を務めた片淵須直監督のインタビューが載っていた。

 

曰く、

主な日本アニメはティーンエイジャーを過ぎた年代(後期思春期世代)をターゲットにしている。

なぜならこれらの世代層は穴場であったためである。

しかしほとんどすべての日本アニメがこれらの世代をターゲットにしてしまい、結果として傾向が同じものになってしまっている。

これは、大人をターゲットにして作品を作っている世界のアニメーションの潮流に反している。

 

片淵監督は、日本アニメが後期思春期世代向けのものばかり作っている現状を「不健康だ」といい、その状況を「ガラパゴス化」していると指摘した。

 

* * *

所感

 

・ある対象に「ガラパゴスだ」というとき、そこには「語り手にとって望ましくない進化を遂げた」「先がない」というニュアンスが感じられる。

 

・ところどころ感情的なな文章が散見され、読んだ人間を扇動する危険があるだろうなと思った。気になったのは、例えば以下のような文。

・・いま後期思春期って40代まで含まれるんです。世界的に!

・・僕も審査員を海外でやったことがあるんですけど、「日本のアニメは面白いね」と言っていた審査員が、「だけど賞はやれない」「みんな同じでしょ」と言うんです。

・・日本のアニメが出てきた途端に、なんか気恥ずかしい気持ちになって、海外の審査員の人が「またか」って言う。

・・クレヨンしんちゃんの原作の漫画には両親のベッドシーンがありますよ。

これらの文章は、オタクのプライドを刺激するかもしれない(私はされた)。なぜ刺激されたのか、いつか考えてみたい。

 

・この記事中で、監督は「子供向けアニメには新規参入ができない」といいながら「子供向けアニメを誰も作らないのはおかしい」と述べている。いまいちつながりがよく分からなかった。この辺は聞き手の記者の落ち度なのでは……(棚上げスタイル)

 

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考察

 

・日本アニメが「ガラパゴス化」している、後期思春期層向けのものばかり作っていることの問題は何か。

・・海外のコンペで評価されないから、というのはあまりに安直すぎる。

・・問題は、みな同じようなものばかり作るようになってしまった、ということなのではないか?

 

・大人向けのアニメって何だろうと考える。そもそも、"大人向け"とは何か?

・・記事中の言及では、ポルポトを扱ったアニメなどが”大人向け”アニメの代表として述べられている。

・・社会問題を扱えば"大人向け"と言えるのならば、日本アニメには地下鉄サリン事件を扱った「輪るピングドラム」がある。

・・片淵監督の「この世界の片隅に」は、"大人向け"に作られたという。記事中では「ベッドシーンを入れたこと」が例として挙げられている。ここでいう"大人向け"とは、大人にしかわからない演出があったり、ある程度知識や経験を積まなければ理解も共感もできない要素が入っていることにあるのではないか。